胸を模る猫と鸚鵡
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空を走る雲が、十六夜を覆い隠して。濃い闇が部屋を満たした。 暗闇の数秒後に、ふうっと部屋の灯りが戻ってくる。 猫は消えていた。 窓を閉めて胸元に手をやれば、変わらずに石に宿る猫の姿。外気に冷やされた手でなぞっても、もう温もりは感じない。 乳白色の残り香が唇に残る。 「ありがとう。おやすみなさい。」 真紅のビロードが内側に張られた宝石箱に、猫のブローチを丁寧に横たわらせ、蓋を閉じた。
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