1章 華畑

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世界はまるで花畑のようだ。 私には見えている。 万物に咲く、色とりどりの華が。 「いってきます!」 よく晴れた朝、私はいつものように元気に家を飛び出した。 玄関の戸が閉まる間際、お母さんの「いってらっしゃい」の声が聞こえた。 私が住んでいるこの町は都会から少し離れたちょっぴり田舎な町。 でも、少し電車に乗れば大きな町に行けるし、スーパーもコンビニもちゃんとある。 都会よりもずっと自然がある、この町が私は好きだった。 私が通うのはこの町に一つだけある高校。 私は川沿いの土手を歩く。 朝日が水面に反射してキラキラと輝いていて、今日も一日いい日になりそうな予感がした。
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