かのじょ

2/3
前へ
/76ページ
次へ
儚い。儚くて消えそうな 真っ白な悪魔がそこにはいます。 彼女はいつも塀の上にいて、みんなをみています でもひとは彼女に気づきません 彼女は真っ白だから。 本当なら全てが黒くなければいけません。心もすべて。 黒い彼女の癖のある長い髪は いつも光を浴びて白く輝きます。 ただひとつ 彼女のなかで白くないのは 背中にあるその羽だけ。 背中の羽だけは どんなに光をうけても ずっと赤いまま。 彼女に気づく子どもはいつも聞きます 「真っ白なのにどうして羽だけが赤いの?」 彼女は笑って答えます 「これはね、かみさまが天使の羽とつけ間違えたんだよ」
/76ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加