かのじょ

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彼女は赤が嫌いです。 自分が天使だと信じて疑わない その儚い心はいつも自分の赤い羽によって砕かれていきます。 彼女は 天使とも呼ばれず ましてや悪魔にもなりきれません。 そのどっちつかずさが ますます赤を嫌わせるのでしょう。 でも、 彼女はひとが好きです。 そしてひとには 温かい血液が流れていることを知っています。 温かい血液のその赤はひとの命です。 彼女にはそれを嫌うことができません だから 赤を嫌いになりきれない。 でも、その心を憎いとも思ってしまう。 そんな自分はキライ。 憎いと思ってしまうのは悪魔だから 彼女はそう思っています。 生まれたときから白く 悪魔とも天使ともみなされないその外見から だれからも相手にされず 悪魔とは何かを知らない彼女。 でもきっと 悪魔はいやなもの それだけが彼女の中には残ってる。 だから 彼女はいつもかみさまに願います 「悪魔の羽をとってください」 と。
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