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「私は未来から来た」
少女は慇懃無礼にそう告げると、ひと昔前の西部劇に登場するような拳銃を僕に突き付けた。
台詞と、彼女の服装―――目の毒になるほどにぎらぎらと銀色に輝くボディスーツとは裏腹に、極めて古典的な武器を前にして、僕は何も言えなかった。
正確に言うならば、いきなり両膝を撃ち抜かれたショックで混乱しているだけだったのだ。
こんな世迷言など、普通の人間ならば信じるかどうか以前に聞くのもバカらしいのだが、彼女はご丁寧に僕が信じざるをえない状況を作ってくれていた。
「……なるほど。相手…を信じさせたければ、相手に疑いを持たせる隙を与えるなという発想は正しかったようだね。その様子では、私が未来からの使者であるということを認めざるをえまい」
彼女は、小さな音を立ててジャンプすると、僕と彼女の間に飛んでいる蝶を足場に着地した。
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