予兆

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アパートの一室で若い女性がお風呂に入っている。 女性は髪が黒いせいか、顔が十人並みなせいかどこかやぼったい。 ワンルームのアパートで若者が1人暮らしをすることは別に珍しくはない。 この少々やぼったい女性、カナもそんな若者の1人だった。 カナは勉強したい学部が田舎から通える大学にはなかったため都会に出てきていた。 一人暮らしを始めて2ヶ月。 少々うるさいくらいの賑やかな家庭で育ったせいか、カナは一人の静かさに未だに慣れないでいる。 …さみしい…さみしい… その分、できたばかりの恋人への思いは募る。 …会いたい… しかしカナは彼が忙しく、なかなか会えないことを知っている。 メールくらいならいつでも返事出来るし、 迷惑にならないよね… お風呂から出るとカナはさっそくスマホを手にとった。 色々話したいのに忙しい彼に遠慮し、 短い文にして気づかいの言葉を添えた。 [アキラ君、元気? カナはアキラ君に会えなくて少し寂しいです(:_;) 今度はいつ会えますか? ゴメンね。 アキラ君は忙しいのにこんなメールして… 元気にがんばって♪ 無理しないでね。] 文章を書き終えて 送信ボタンを押そうとした… その時である…
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