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髪だって奇抜というが色が派手とか、形がどうだとかではない。髪が暖色から寒色まで綺麗にグラデーションになっているのだ。
どういう仕組みだよこれ。
ジロジロと目の前の人物を上から下に見回していると、そのグラデ頭は雪村が想定しない最も聞きたくない一言を言い放った。
「あんたが雪村サンだね? ああ何も言わなくて良いよ。付いて来な私の事務所に案内するからさ」
冗談じゃない。コイツが雇い主? というかこんなのに融資したのか銀行は……
「ああそうだ」
踵を返して歩き出したグラデ頭が振り向いてニヤリと笑う。何か口出してしまっていたかと焦る。
ゆっくりとこちらに向かって歩き出し、雪村の隣を過ぎていく。
グラデ頭はあまりの出来事に唖然とした泡まみれの男の頭を掴んで、言い放つ。
「火の元注意なおっさん」
泡タイプって三万近くするんだよね……アンタには高いたばこだったかもな? とグラデ頭は小さく続けた。
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