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「余弦さん! 大変す!」
港の廃倉庫を拝借した集会所の中にバンダナを巻いた細身の少年が入ってくる。
「どうした隼人」
熱気のこもった集会所の中は一転静まる。集団は乱入してきた少年の通り道を空けるように、外側に広がり、志木咲を中心に同心円を描く。
円に囲まれるようにして息絶えだえに、志木咲と向き合った少年はゆっくりと顔を上げてから口を開く。
「茅ヶ崎とリーパーがバトりながらこっちに向かって来てるんす!」
街を歩けばよけられるような、尖った少年達がざわざわと落ち着きを無くし出す。茅ヶ崎銀牙と東雲八雲。この街で相手にしてはいけない化け物のツートップ。
よりによって何でここなんだと、頭を抱えてため息をつく。ああ、やるしかねえよな……やるしかねえなあ。志木咲は心中で呟く。
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