壱・ビフォーファイブ

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「待ってくださいよ!」  雪村は走ってグラデ頭の後をついていく。現在進行形で雪村は雇い主を名乗るこの女にろくに情報を与えられず混乱していた。  メダパニだと雪村は思う。コイツのグラデ頭にはその類の呪いが込められてるんじゃないだろうか? 「私が待つよりアンタが急ぐべきだろうよ雪村さん?」  肩越しに振り向いて言い放つ。ああムカつく腹が立つ。まあ良いんだけどさ。  これで人違いなんて言ったら笑えない。まあ名前を知ってたし新たな上司である事は間違いなさそうだけど。 「貴方が夢島さん?」  早歩きのグラデ頭に全力疾走して横に並んでから尋ねる。肉体派じゃないんだからあんまり動かせないで欲しい。 「ん? ああ名乗ってなかったね。私は夢島だ。夢島晴。ハルでいい」
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