壱・ビフォーファイブ

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「ハルさん、聞きたい事が……」 「なんだ雪村サン?」  今まで会話中にも振り向かず、早歩きの夢島は、振り向いて立ち止まった。 「事務所に呼ばれたって事は自分は採用って事なんですよね」  雪村はこの場で改めて再確認する。確認は大事だ、安心できる。雪村は心の中でうんうんと頷く。 「なんだ、そんなくだらない事を聞くためにい私は足を止めたのかよ。雪村サン、正解はこうだよ。アンタが応募した時点で採用は決定していたんだよね。解るな?」    ――夢島通信社内部。  「ルリちゃんコーヒー二つ頼む。さて雪村サンはそこ座って。仕事の話をしよう」  事務所と言われ通されたビルは、話のうさんくささと裏腹に綺麗で、中は整ってるとは言えないが仕事場というリアリティーを演出していた。
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