壱・ビフォーファイブ

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「雪村サンは何を聞きたいのかな」  ソファーにもたれかかり、ペンを回しながら夢島は言う。何が聞きたいか。そんなの決まってる何もかも問いただしたい。  業務内容は? 勤務時間は?残業は? 基本給は? 社員数は? ぶっちゃけ謎すぎる。 「ははーん解るぞ。私のスリーサイズを聞きたいのか雪村サンは。仕方ないな上から順に8……」「聞いてません!」「怒るなよ冗談だろうハハハハ」  なんだろうコイツは、今までの上司とはまた違った苛立たしさを感じる。 「詳しい待遇を聞きたいんですが?」  笑い転げる夢島に淡々と雪村は言った。クールに行こう。自分ビジネス志向の人間だ。プライドなんて今まで何度も二束三文に変えてきたじゃないか。 「まあそこだわな。定時八時から五時。残業有り、有事の呼び出し有り。週休二日ってとこだ。初任給はそうだな局長いくらぐらいににする?」
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