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夢島が会話の途中でソファー越しの奥のデスクへ話しかける。ごそっと動く音がしてからただの書類の山だと思ってた物から男が這い出てくる。
整髪料で整えられた髪。着崩しては居るもののどこか小奇麗さをにじませるスーツ姿。
それなりに値が張るだろう装飾品類が嫌味にならないナイスミドルと言ったところだろうか? いや、中年と言うには若すぎるかもしれない。
「そうだな百万くらいじゃねえかな?」
「まあ、そんなもんだな」
局長と呼ばれた男と夢島は、雪村を蚊帳の外に置いて会話を続ける。百万? 初任給が百万? 何を言ってるんだこの連中は。
「私は百五十万でしたよ」
給湯室から出てきた桃髪は言った。
「じゃあ百五十万だな。雪村サン、あんたの初任給は百五十万に決定!」
「そんな馬鹿な!」と思わず突っ込んでしまいたい衝動に駆られる。
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