壱・ビフォーファイブ

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「どうぞコーヒーです」  桃髪はコーヒーと角砂糖の乗せられた盆をテーブルに置くと言った。 「ありがとうございます……えっと?」  名前を聞いてなかった事に気付き言葉の途中で詰まり疑問系になる。  すると夢島は「ああアンタの先輩になるルリちゃんだ」と紹介する。  不足な説明のせいで本人が「護国寺ルリです」と名乗る二度手間になったのだけれど。 「あのおっさんが『局長』だ。ちなみに社員じゃないから」  続けて局長について紹介された訳だが、今度は驚愕の事実を発表される。じゃあ何で居るんだよ。 「『じゃあなんで居るんだよこのドクサれおっさんが……』って顔したな」 「何でそんな具体的に考えてる事を……ていうかドクサれなんて思ってないですから!」 「へえ。じゃあおっさんとは思ったわけだ」 「うっ……」  図星を突かれ、体が退く。奥で局長(仮)がすすり泣いているのが聞こえる。すごい罪悪感を感じさせられるシチュエーションだ。
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