1.カンと天然は同居できる

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「なぁ、桜木、最近どうかしたのか?」 素晴らしくカンのいい上司: 槇隼人(マキハヤト)に、とうとう尋ねられてしまった。 僕:桜木真也(サクラギシンヤ)の片眉が 僅かに上がる。 内心焦るが、表情には出さない。 「槇課長、どういう意味でしょうか?」 ゆっくりと椅子を回して、座ったまま背後に立つ上司に尋ねる。 「今日何時に上がる?」 彼の中で、”桜木は悩み中”の フラグが勝手に立ったようだ。 「10時ごろになりますが…」 積み重なった書類をぺらぺらと捲り、ためらいを態(わざ)とらしく演出してみるが、 「分かった、終わったら声かけろ」 天然でもある上司には通じなかった。
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