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「なぁ、桜木、最近どうかしたのか?」
素晴らしくカンのいい上司:
槇隼人(マキハヤト)に、とうとう尋ねられてしまった。
僕:桜木真也(サクラギシンヤ)の片眉が
僅かに上がる。
内心焦るが、表情には出さない。
「槇課長、どういう意味でしょうか?」
ゆっくりと椅子を回して、座ったまま背後に立つ上司に尋ねる。
「今日何時に上がる?」
彼の中で、”桜木は悩み中”の
フラグが勝手に立ったようだ。
「10時ごろになりますが…」
積み重なった書類をぺらぺらと捲り、ためらいを態(わざ)とらしく演出してみるが、
「分かった、終わったら声かけろ」
天然でもある上司には通じなかった。
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