第一章 若き者たちの出会い

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一日で最も客が来ることが少ない時間帯、葉七は店の奥で昼食をとる。 「ごちそうさまっ」 「ん、食べるの速っ! もう少し味わって食えば? 葉七」 一緒に食べていた大智(ダイチ)は、何か不満そうな表情を出す。 大智は、甘味処『時雨』を営む夫婦の息子で、葉七より二つ年下である。 一応、甘味をつくるのは上手い。 「ちゃんと味わったわよ。よく噛んで食べたし。それに、おじさんとおばさんと店番の交代を早くしなくちゃ!」 店番はいないとダメだから、葉七と大智が休憩する時は夫婦が店番。夫婦が休憩する時は葉七と大智が店番となっている。 「おじさん、おばさん、交代します」 店の奥から顔を出し、葉七は袖を捲った。 「食べるのが速いな。」 「昼食をちゃんと味わって食べたかい? もっとゆっくり休憩していいのよ」 大智に言われたことを、夫婦がまた言う。 (んー、親子だね) しみじみと、大智はこの夫婦の息子だと改めて思った。 「ちゃんと味わって食べましたよ。休憩もじゅうぶんにしました。さ、次はおじさんとおばさんが休憩する番だよ」 葉七は夫婦を追い出すかの様に、無理矢理に店の奥に行かせる。 .
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