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「おい、それは違うだろう。お前の性格が原因だ」
「んー、お嬢さん……抜刀していい? 今すっごく晋作を殺りたいんだよ」
「絶対に抜刀しないで下さい、お客様」
この店を血で汚したくないので、葉七は即答した。
「……ちぇっ。晋作、お嬢さんに免じて今日は殺らないであげるよ」
「あ、あの、みたらし団子と桜餅と餡蜜です……」
葉七の横から、少しビクビクしながら大智は静かに注文された甘味を机に置く。
それをとてもいい……心の底から出しているような笑顔で、稔麿は受け取った。
また、葉七はドキッとする。
(うわっ……。なんかドキドキしちゃうよ……)
「おいしそう~。いっただきま~す」
「んじゃ俺も。いただきます」
二人とも美味しそうに食べてくれた。
それが嬉しくて、葉七は自然に笑顔になった。
この時、偶然にその笑顔を見た晋作と稔麿は密かにドキッとする。
((……この子、可愛い……))
「なぁ、嬢ちゃん、名前はなんていうんだ? 俺は晋作。高杉晋作だ」
「こら。僕たちはあまり名乗っちゃいけないんだよ、晋作。……あ、僕は吉田稔麿だよ」
ちゃっかり稔麿も名乗っている。
名乗っちゃいけないんじゃなかったの? と葉七は思った。
「は、葉七です。一ノ瀬葉七です」
「へぇ、葉七ちゃんか。いい名前だな。……そんじゃ、また来る」
「またね、葉七!」
晋作と稔麿はそう言うと、机に銭を置いて店から出て行った。
「ありがとうございましたっ!!」
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