始点

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ある年。 某国の林中。 裸足で友人と駆け回る一人の少年がいた。年齢は十二歳といったところだろうか。黒光りする皮膚は細くも逞しい足をゆりいっそう逞しく見せる。 小さな村に住む少年の夢はサッカー選手で、畑を耕しながら、日々練習に励んだ。 彼には共に同じ夢を見る友達がいた。 彼は友人をとても慕い、その友人はサッカーにおいて、素晴らしいセンスを持っていた。 その日も仕事を終えた彼は友人とボロボロのサッカーボールを持ち、遊んでいた。 彼が蹴った球は風に乗り、思ったより遠く、林の中へ入ってしまった。それを追いかけ友人は林中に入って姿が見えなくなった。 彼は、大丈夫か?と林の外から声をかけると、中から、あったよ、と返事があり、木々の揺れる音が友人の帰還を感じさせる。 ようやく姿が見えた。
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