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「ほほう、ここがゲームセンターとな」
遊ぶところ、ときてゲームセンターと答える僕は、なかなかの現代っ子なのだと思った。
ココロはゲームセンターには初めて来るらしい。
「ほほう、これはなんじゃ?
箱の中に人形が沢山入っておるぞ」
「UFOキャッチャーだよ」
「あれはなんじゃ?車が走っておるぞ」
「あれはレースゲームだよ」
「おうおう、ここは愉快な場所じゃのう」
僕が楽しむ、というより彼女が楽しんでいた。
その仕草は年頃の女の子そのもので、誰が見ても彼女が死神だとは思わないだろう。
実際、その正体を知る僕ですら彼女が死神だという事を忘れそうだった。
「儂はあれがやりたいぞ」
「え…」
彼女が指差したその先には、一台のプリントシール機があった。
僕はあのての機械には触れた事がない。
そもそもあれは家族とか友達とか…恋人とかと撮るものであって周りから遠ざけられていた僕が撮るものではないのである。
彼女はそれを、的確に選んできた。
「本当に?」
「うむ、真じゃ。
そういえばおぬしの名も真(マコト)じゃったな」
「だからどうした」
「早くやるのじゃ」
「話題出しといてスルーか」
そんな感じで、半ば強制的にプリントシール機に押し込まれた僕は、仕方なくお金を投入する。
どうやら4種類の写真が撮れるらしく、ココロが目を輝かせながら選んでいた。
写真を撮ると最後に落書き機能があるらしく、彼女はこれまた目を輝かせながら描いていた。
で。
「なんかすごい恥ずかしいんだけど」
出来上がったプリントシールを見て。
ハートの背景に僕の方にマコト、彼女の方にはココロと書かれていた。
まるで恋人同士のようだった。
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