人間の世界と死神の世界

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「下がれ、マコト」 「?」 ガキン、と。 金属がぶつかり合う音が耳に響いた。 気付けば目の前で、死神少女ココロが大鎌を出現させていた。 それは、僕を殺すためではなく。 僕を守るためのものだった。 「何のつもりじゃ」 「殺すつもりだ」 僕の目の前で大鎌を振るう少女と、日本刀を振るう男が。 火花を散らせていた。 理解が追い付かない。 この男は誰で、何を目的にこんな路上で日本刀を持っているのだろう。 それを、一呼吸おいて理解する。 この男も、死神だという事を。 そして。 ココロの大鎌が男の日本刀を防がなかったら、その刃は僕の心臓を貫いていたという事を。 「こやつは儂の獲物じゃ。 手出しするでない」 「てめぇがちんたらしてるから代わりに俺が刈りに来たんじゃねぇか」 「あいつも、死神? 鎌じゃなくて刀持ってるけど」 「儂は初期装備の大鎌を使っておるが、死神の武器は変更可能じゃ。 死神は人の魂を刈る際、必ず死神の武器で刈る必要がある。 つまり自分の得意な武器を使うことで作業効率が上がるわけじゃな」 どうやら、死神は自分自身の手で人の首を締めても魂を刈ったことにはならないらしい。 魂を刈るには、支給された武器でとどめをさす必要があるという。 「てめぇ、あと一人で死神卒業だろ? 何で殺さねぇんだ」 「うるさい、おぬしには関係ないじゃろ!!」 「情が移った…とかかぁ?」 「………」 ココロは答えない。 「まぁいい、てめぇがもたもたしてるから死神大王も不機嫌でなぁ。 俺に与えられた命令は二つ。 神崎真の魂を刈る事。 そして死神ココロの死神界への強制送還だぁ」 「何じゃと」 「つうわけで、悪く思うなよなぁ」 男が日本刀を再び振るう。 今度の標的はココロらしい。 日本刀と大鎌、二つの凶器が火花を散らす。 僕は、ただ見てる事しか出来なかった。
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