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飛び降りた。
僕は大気を裂くように、そして大気が僕を避けるようにして。
僕は落ちていく。
感じるのは冷たい風。
そして、ありったけの恐怖だった。
その日、僕は自分を殺した。
中学校の校舎の屋上から飛び降りた。
何、要らない物を捨てるように、要らない者を捨てただけだ。
居ても居なくてもなんら変わらない価値のない人間は死んでも生きてもなんら変わらない。
要らない、価値のない僕は、ここで死ぬ。
それは世間では自殺、というらしい。
自分で自分を殺す。
僕は最大の加害者であり、最大の被害者だった。
でもまぁ、被害者面はしない。
そもそも被害者面したからといって、救いがあるわけじゃない。
世界とはそんなもんで、神は救いなんて与えてはくれない。
全知全能の神は、それ故に救済対象を選ぶ。
全てを救えずに全ての頂点に君臨するなんて、不可解な話だ。
「………」
僕は、死の直前に何を考えているんだろう。
もっとこう、走馬灯とか見るのかと思ってた。
スローモーションで落ちて行く僕はそんな風に、どうでもいい事を考えながら最期の時を迎える。
その14年の生涯に、盛大に終止符を打つ。
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