終わる世界と始まる世界

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終わった。 結局、僕は周りを不幸にする人間らしい。 死神すら不幸にする、僕の不幸っぷり。 もう、笑えるくらいだった。 僕は、これからどうすればいいんだろう。 また、独りになってしまった。 誰も、僕を必要としない。 日の沈んだ真っ暗な世界で、僕はただ死神少女の亡きがらを抱く。 その冷たい体が、僕の心を冷やした。 護れなかった。 救えなかった。 どうして、僕はこんなに不幸にならなくちゃならないんだ。 やはり神様は理不尽だ。 死神の方がよっぽど信じられる。 「……」 ふと。 彼女の握っていた、大鎌が目に入る。 そういえば。 ココロは死神で。 死神は100人の人間の魂を刈る事で生まれ変わりの権利が得られて。 ココロは99人の人間の魂を刈っていて。 魂を刈る際には死神の武器を使わなくてはならなくて。 僕の魂を刈れば生まれ変われたはずで。 僕は考えた。 その手にはココロの大鎌が握られている。 魂を刈る際には死神の武器でとどめをささなくてはならない。 逆に言えば、この大鎌で刈った魂は。 彼女が刈った事になるのではないか。 僕が、僕自身の手でこの大鎌を使い僕を殺せば、彼女は100人を刈った事になるのではないか。 生まれ変われるのではないか。
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