終わる世界と始まる世界

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最後に来て、なんて皮肉なのだろうと。 僕はそう思った。 僕が自殺すれば、彼女は生まれ変わるかもしれない。 僕の自殺。 それは僕が最初に願った事で、彼女が最初に願わなかった事。 彼女の生まれ変わり。 それは彼女が最初に願った事で、僕が最初に願わなかった事。 相反する二つ。 あぁ、そうか。 神に対して、僕は最初に思ったじゃないか。 "助ける"というのならおとなしく僕を死なせてくれ、と。 ここにきて、神は僕の願いを聞いてくれたのだ。 僕は死ねるし、彼女は殺せる。 僕達が、最初に願った最高の結末じゃないか。 これ以上相応しい結末があるものか。 僕はさらにきつく、大鎌の柄を握り締める。 僕がこの大鎌で死ねば。 僕が自殺した事になるのだろうか。 彼女が殺した事になるのだろうか。 両方なのだろうだろうか。 それとも、どちらも叶わないのだろうか。 願わくば、彼女は僕を殺す事なく。 僕は彼女に殺されてほしい。
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