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漆黒の闇夜に、赤い絵の具をぶちまけたかのように。
僕の周りは血の海だった。
不思議と痛くない。
もう僕の痛覚は生きていないらしい。
僕は最後に、僕の胸の中で冷たくなっている少女の事を考える。
一週間前、僕達は出会った。
それはお世辞にもドラマチックな出会いとは言えないが。
そしてココロは一週間寝たきりだった。
僕のせいだ。
今になって思うと、彼女と居れる希少な時間は、僕のせいで大半が失われていたのだった。
ゲームセンターに行った。
彼女のはしゃぎっぷりは異常だった。
当然だ。
彼女は生前、ずっと家に閉じこめられていたのだから。
見た事もない世界に目を輝かす。
見た事のない世界を、この世界の素晴らしさを見せてくれたのも彼女だった。
ハンバーガーを食べた。
彼女が予想外にハンバーガーを食べるもんだから、僕の出費は多大なものだった。
普段からこんなに食べているんなら、もっと成長してもいいんじゃないかと思ったのは内緒である。
お嬢様なら、ハンバーガーを食べた事がないのも納得だった。
いろいろな話をした。
いろいろな事をした。
ただただ楽しかった。
僕は彼女と出会って一週間、始めてこの世界を生きた。
この世界も捨てたもんじゃない、と思う事が出来た。
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