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「う…あぁ…」
僕は、周りを不幸にする人間だ。
それは死神とて例外ではないらしい。
僕は生まれて初めて、自らの手で周りを傷つけてしまった。
「あぁ……ぁ…」
言葉が出なかった。
どうしよう。
どうしよう。
どうしよう。
言葉が出なかった。
「安心せい」
そんな僕を前に、言葉を出したのは死神少女ココロだった。
「死神は傷つける事は出来ても殺す事は出来ん。
そもそも既に死んだ身じゃからな」
そう言って彼女は胸に刺さった包丁を平然に引き抜く。
その光景は僕から見ればとても痛々しいのだが、彼女の言葉はどうやら真実らしく、彼女からはまったく流血がなかった。
本当に体内に血が流れてないらしい。
だからと言って僕の罪悪感が消えるわけでも無かった。
「じゃがやはり、痛いものは痛いのう、はは」
薄く笑い、死神少女ココロの意識は闇に堕ちた。
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