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「大丈夫。俺が家族となる。俺達と暮らそう。大変だと思うし、変人ばかりだ。だけど楽しいと思う」
「っ……何をっ…」
“家族”その言葉に、そんな声を漏らしても男は話を続ける。
「最初は慣れないけどみんなすぐ貴方の事を好きになって、みんなのことも好きになれる。それでみんなで暮らそう」
「ぅぅっ…」
「8人いるから9人で。仕事もあるけど人を殺したりするだけだから大丈夫」
…………は……。
「大丈夫なわけないでしょう!!!!!!!」
殺人て事だよね。さっきしてたけど…いきなり来て来いとか言って、殺人なんて。阿呆らしい。出そうになった涙も引っこんじゃいましたよ!
「やっと感情が見えた。はははっ」
無表情が一瞬にして変わる。状況には全く不釣り合いな顔をしながらも、男は言う。
「でも実際、世間から外れたらそうやって生きてくしかない。でも大丈夫。悪いことじゃない」
「でも…」
精一杯の反論をしようとする。
「大丈夫。俺らが家族なんだから」
微笑みながら男は言う。
―――これがずっと求めていたもの、なのだろうか。
疑問から不信感そして感激。気持ちが不安定になっているせいか、揺らぐ――。
「うっ…うっ…ぁんっっうぁ~ん」
玄関で立っていられず崩れながら泣く。もういいんだ。苦しくなくていいんだ。願っていた事。一人じゃなくていいんだ、只々そう思った。
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