529人が本棚に入れています
本棚に追加
/1006ページ
ちなみにこの見上げて観察してる状態、端から見たら「お前ドラゴンと対峙しているけど周りは大丈夫なの?」とか聞かれそうだが、民間人は先程屋内に避難済み。
現代の技術で建てられた建築物はこんなのに踏まれても潰れはしない。安心である。
……でも、中にいる人はたまったもんじゃないだろうなあ。上でズシンズシン鳴ってたらそら怖いですよ。
早く何とかしなければ。主に苦情の処理が面倒になるんでね。
「……いや冷静に考えてこれを捕獲とか無理。まずどう飼っていたのか疑問」
「普段はすごく大人しくて、放し飼いでも大丈夫だったんじゃない?……でもこの大きさは野生のドラゴンでも珍しいわね。欲しいなあ、ゼロ(ボソッ」
「……え?ちょっと後半が聞き取れなかった、もう一回」
「あれ、欲しいなあ」
「え?」
ドラゴンを指差しながら金髪の少女――リディアは物欲しそうな目でこちらを見つめる。
……はい、このさっきから結構世間一般論とかけ離れている発言が多い、このリディアさん。
いつもおれの万屋の仕事を手伝ってもらってます。見た目は割と美人なんですがね、やっぱり発言と性格の方に問題ありで、なかなか苦労が絶えないんですわ。
「……さっきから絶対聞こえてるわよねえ?何、死にたいの?」
説明がてらちょっと冗談かましただけでこれ。口が悪いにも程がありますわ。
初顔合わせの時から段階を経て、今じゃすぐ死ね死ね言うようになりました。死ねしか言えないガキか、お前は。
「だがこうやって責められるのもまた趣があっていいもんさ」
「顔は悟ってるけど、言ってることはただ単に気持ち悪いわよ」
「そんなド直球な言葉でさえも、一部の業界ではご褒美となるのだよ(ドヤァ」
「踏みつけたい、そのドヤ顔」
と、こんな調子で万屋はいつも依頼をこなしております。
ちなみに外じゃなくて人目の無いところだったら本当に全力で踏みつけられてたね、今。
最初のコメントを投稿しよう!