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キリカは賢かった。
自分にないものを悟り、あるもので戦った。
例えば、彼には金がない。生きるには金がいる。
懸命に働いた。
働けば金が手にはいった。
だから彼は働き続けた。
例えば、彼生まれもって醜かった。
そんな醜い姿でも努力は評価された。
しかし醜い彼が評価されると決まって良くないことが起きた。
他人のミスをなすりつけられたり。
覚えのない台詞を喋ったと言われ蔑まれた。
なので努力はやめた。
例えば、彼は運が無かった。
誰にでも人生に一度や二度大きなチャンスが巡ってくるものだ。
だが彼は町の賭場で一番勝つ確率の高い賭け方をしても一度も勝てなかった。
やがて彼は期待するのをやめた。
意識を手放す直前キリカはこう思った。
「助けを乞うたことも、人が通りかかったことも無駄、今まで一度でも自分がチャンスを物にしたことはなかった…俺は死ぬ。」
キリカはどうしようもない人生を終えた。
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