プロローグ

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青空の下で、新たに決意をした日。 私達の約束の時間はそこから始まった。 十年以上は待った。 彼が帰ってくるのを待ち続けた。 この十年でいろいろなことが起きた。 大怪我をして、飛べなくなって、辛くなって。 挫けそうになった時には、必ず、彼を思い出す。 それで少しだけ泣いてしまう。 「……少しだけだったら、いいよね?」 小さな泣き声が、静かに部屋に響き、雫が落ちる音もよく聞こえていた。 泣き終えると、眠気がゆっくり襲ってきて、そのまま眠ってしまう。 そんな日が何日も続き、毎日のようにお見舞いに来てくれる親友にも、心配をかけてばっかりだった。 そのせいで、その親友は大切な試験に二度も落ちてしまった。 何度も謝るのに対して、親友は気にしてる様子も見せず、私の身体の心配をしてくる。 私はそれが悔しかった。 何も出来ない自分が、心配ばっかりかけている自分がとても悔しかった。 だから、決めた。 これ以上、悔しい思いをしないですむように、何より、約束を守るためにも、もう一度空を飛びたい。 再度、強く思った時だった。
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