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背中に手を回され、果実の皮を丁寧にめくっていく。
その皮は男の手により空高く舞い上がった。なぜ放り投げるのか。
だが、自分の身につけていた皮が、宙を舞う姿は得もいわれぬ恥ずかしさがある。見透かしたような微笑みで羞恥心を煽られる。
露わになった実を見られるのが恥ずかしいのか、心を見透かされているのが恥ずかしいのか。
おそらくどちらもそう。
男の手が伸びる。
一番敏感な房にはまだ触れないように、周りから査察が入る。
最初は触れるか触れないかの距離を行ったり来たり。
急に鷲掴みにされた果実は原型を失う。
舌で糖分を確認するように張りついてくる。
甘味成分に誘われて、唾液が果実を伝う。
房には一度も触れない。焦らされるとどうなるかこの男は熟知している。
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