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感度が上がっていく。
まだ肝心なポイントをついてないのに芯が高揚する。そして、甘味濃度が上がっていく。
それを見計らったかのように、男は山頂にある房を獲りにきた。
思わず声が漏れる。一番熟したところで摘み取るタイミングは長年果実と真摯に向き合ってきた農家のよう。
多彩なバリエーションで房を愛してくる。
優しく這わせたり、激しく弾いたり、包み込んでみたり、強く擦り合わせたり、緩急をつけて吸い込んだり、様々である。
幾度の項目のチェックを受けて保健所を通る食品のようだわ。
合格をもらえたら、次は左の房のチェックに入る。
左の感度が右に比べて良いのは、これまでの経験でわかっているみたい。
だから、わざと後から責めてくる。
ドラマのように、次のシーンへ進むほど上り調子で攻め立てる。短絡的な果実狩りではなく、どうすれば一番美味しくなるか分析する理系タイプの男。
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