第一の果実 ブラッドオレンジ

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イチジクの入口で、そろばんでも叩いているように遊んでいる。 刺激を与える事で身が締まるのだという。 ほんとうかどうかわからないけれど、私もトレーニングをしているから締め付ける事に関しては自信がある。 私は観られているのを感じながらも、相手の目を見られないでいる。 男の顔が近づいてきて、吐息が頬に伝わる。 クロスした二本の指が、イチジクの中に入ってくる。 急な身体の反応に耐えきれず、相手の肩を掴む。 我慢している声に男は興奮するはず。だけど、冷静にことを進める。 イチジクの一番奥を突く男の顔は、私を蔑んでいる。 恐らく私の顔は、どうしようもなく欲しがっているに違いない。 私を蔑んでいいのはこの男だけ。 才能とテクニックがあるこの男だけしか許さない。
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