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男がイチジクをかき乱し始める。同時に男の顔も下に降りていく。
付け根を広げられ、数秒でトマトが潰れたみたいに音を立てて果汁がベッドに零れる。
バスタオルがその果汁を受け止める。
携帯電話の呼び出し音が鳴り出したが、どっちの電話かわからない。
果汁はまだ止むことはなく、バスタオルと男の腕を濡らしていく。
男が指を抜いて、腕に付いて果汁を鞭のように払って私の身体に浴びせる。
その時に自分が声の大きさに気付いた。
息を整えている間に、着信音と男が消えた。
嫌な予感がする。男は隣の部屋で電話に出ている。
「なんや……おう……ちっ、場所は? わかった。すぐ行く」
携帯電話を鞄の中に投げ込む。機嫌が悪くなったのは声だけでわかる。
筋肉質な身体に一枚の布が被さる。どうやら今日はこれでお終いのようね。
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