第一の果実 ブラッドオレンジ

8/9
前へ
/234ページ
次へ
「仕事?」様子からしてそうじゃないのはわかって聞いた。 男は近づいてきてご機嫌直しのキスを額にする。 「そっちの方がまだマシや。エイジとキリュウがパクられた」 「クスリ?」 「いや、酔って暴れただけや。もっとプロ意識を持ってほしいもんやな」 「今日は帰ってこないの?」おねだりで男の自尊心をくすぐる。 「悪いな。二人を引き取った後は説教やろな」と頭をなでる。 この女は自分に忠実である。そう思わせておけば、私が他でする悪さは容認される。 私は彼のバンドのメンバーやその周りには手を出さない。 男の方からボロが出て、面倒な事が起きる。 男の供給を安定させたいのであれば、男を安心させる事だ。
/234ページ

最初のコメントを投稿しよう!

286人が本棚に入れています
本棚に追加