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「えー…。今日この学校に転校してきた、渡邊咲野さんです。では咲野さん、自己紹介をお願いします。」
「渡邊咲野といいます。よろしくお願いします。えっと、この町に来たのも最近で…この町のこと、学校のこともよくわからないので、いろいろ教えてくれると嬉しいです。」
「よろしく。君の席は先生の正面にある、そこの空いている席だ」
咲野は一番前の真ん中の席に座った。
「えー、今日の日程は―」
HRが終わり休み時間。
「ねぇ渡邊さん、どこから来たの?」
「好きな食べ物は?」
「結婚してください」
「彼氏居るの?」
「俺坂本って言うんだ。」
「お前のことなんか誰も知りたくねぇよ!」
「ひっでぇ!」
口々に言葉を発してくる生徒たち。
私が戸惑っていると。
「ちょっとやめなさいよ!」
そこに一人の女生徒が割って入った。
「彼女嫌がってんでしょ!」
「なんだよ美咲!。なんでお前が咲野さんが嫌がってるってわかんだよ」
「私にはわかるのよ」
「はぁ?意味わかんね。咲野さん、俺達が居ちゃ迷惑か?」
「いえ…そんなことは…」
「ほら見ろ。嫌がってないじゃないか。お前の思い過ごしだよ」
「ふんっ、助けてやったのに。好きにすれば?」
そう言って美咲と言う人は席に戻って、腕、足を組んだ。
さっきの男の子が小声で言ってくる。
「あいつさ、ときどきおかしなこと言うんだよ。『そいつ嫌がってる』も一度や二度じゃないし、話しているときとか、遊んでいるとき急に怒り出すらしいぜ」
「急に?」
「あぁ、この前なんか動物と会話しているようだったし…」
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