10人が本棚に入れています
本棚に追加
放課のチャイムが学校に響き渡ると同時に、生徒たちの自由時間が始まる。
いつも通り陽子と帰るため肩を叩いた。
「陽子帰ろ」
「ごめん。あたし今日用事あるんだわ。先帰ってて、じゃね」
「……あ、うん。わかった。じゃね」
いつも思う。
別に陽子以外の友達がいない訳じゃない。家の方向が同じ友達がいない訳じゃない。
ただ、そうしてきたから。
陽子がいなければ一人で帰る。
ただ、そうしてきたから。
男友達がいなくても平気だった。
そう、男の友達……彼氏……。おとと! 陽子が変なこと言うから考えがおかしな方向に。
一人になり、夕日のせいだけではない色褪せた景色を眺めながら、少しだけ頭を振って考えを散らしておいた。
最初のコメントを投稿しよう!