第一章

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白いうさぎと赤いうさぎは、オセロをするのが好きでした。 白い石を拾ってきては、片面だけに泥を塗り、地面に描いたます目に並べます。 「ぼくが黒だ。」 赤いうさぎは言いました。 「じゃあ、ぼくが白だね。」 白いうさぎも言いました。 始まりは黒がどんどんその駒の数を増やしていきます。 埋め尽くしていく黒。 赤いうさぎは、嬉しくなって、どんどん白から黒へ、駒を返しました。 しかし、終盤に近づくと、気づけ ば赤いうさぎの目の前は真っ白になっています。 そして、いつだって結果は、 白いうさぎの勝ち、なのです。 「いつも僕は勝てないなぁー」 赤いうさぎは言いました。 「そりゃそうさ、だって君、真ん中の駒ばかり気にするのだもの。」 白いうさぎは言いました。 「それはいけない事なのかい?」 「だって君、外側の駒を全部取られてしまったら、中なんてすぐにひっくり返ってしまうよ。」 赤いうさぎは白いうさぎの顔をまじまじと見ました。 「君はいつもそれを考えて、駒をさすのかい?白うさぎ。」 白いうさぎは澄ました様子もなく言います。 「別にそういう訳じゃ無いさ。ただ、今考えたら、僕はそう思っていたんだよ、赤うさぎ。」 この後も、赤いうさぎが白いうさぎに勝つ事は、ありませんでした。
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