第二章 死亡フラグ

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目が覚めると目の前には、あの男がいた。 笹川はむくりと起き上がり、その男の手掴むとぺちぺち叩く。ぼんやりした目で男の手をじっと見つめている。 (この筋肉は……) 「変態……?」 笹川の愛するパソコンに触ろうとした、不届き者の男の手であることには間違いない。しかし笹川は、寝ぼけている為か、頭が正常に 働いていないのだ。 男の手をぺちぺちと叩いて、笹川はぼんやり思った。 (この人の手、冷たいから、暖めてあげよう) 男の手を両手で掴む。笹川は自分が子供体温でいつも暖かいことを知っていた。 そんな寝ぼけた男装した女が、男の手をひたすら叩くというカオスな中、正常な思考の男が一人。 「…何をしてる」 笹川のパソコンを触ろうとして、殺す発言をされ、現在進行形で手を叩かれている張本人、もとい不届き男である。 「……?」 (なんだ、こいつ。何の為にこんなことを……) 笹川は再びめまいに襲われたようで、力なく背中から布団に倒れる。 「熱がある。起き上がるな」 男は笹川の額に濡れた手ぬぐいをおいて、布団をしっかりとかけ直す。 その言葉にようやく、この状況を理解しようと笹川の頭が働いた。 「ありがとうございます。 あの、私は一体……?」 男から、これまでの経緯を聞くとどうやら土方と話をしているときに、緊張からか興奮していたからかなんなのか、熱を出して気絶したらしい。 その後、沖田の部屋に運び、土方命令でこの男が看病してくれたようだ。 (……笑ったまま、倒れたとか。 しかも、ひじりん(土方)に酷いことを言ったような……? ……絶対、死亡フラグ立ってるよ!) 熱に浮かされていたせいだろうか。 笹川は自分の記憶がほとんどないことにうなだれ、焦りを感じた。
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