壱章

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桜太は、無垢な眼差しを紅姫に向けて、そう言った。 桜太の瞳に写り込む紅姫の姿は、美しい少女の動く人形。 「ありがとう。 私は、桜太がそう言ってくれて嬉しいよ。」 カタリと首を桜太の方向に傾けて紅姫は嬉しそうな声を発する。 肉声ではなく、人形に宿った魂から発せられる声は桜太にしか聴こえない。 桜太は、人成らざる力で紅姫の声なき声を聴く。 動きは鈍く表情も乏しい紅姫だが、桜太を大切にしている事には変わりない。 ,
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