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挨拶しながら、又はお喋りしながら制服を着た男女が大きなシャッターの下を抜ける。
横にはこう刻まれている
《私立鳳大学付属鳳高等学校》
ここは太平洋上に存在する、第二東京都鳳区にある、付属高校。
『ふぁあ~』
薄ら涙を浮かべながら、欠伸を押し殺そうとも思わないのは上代 白夜。黒髪、少し目つきが悪いが、性格は温厚、身長は平均よりやや高い位の高校二年生。
『シロ様おはよう御座います♪』
女子生徒が愛らしく挨拶してくる。
『おはよう…って、シロじゃないから!俺は白夜!ハクヤだ!それに様付けなくていいから!』
いつも必死に抗議するが、クラスメイトも…むしろ学校の全生徒(主に女子)は聞く耳持たない。今もきゃあきゃあ言いながらこちらの話を無視し、走って行ってしまう。
『ハァ…』
どうしてこうなってしまったんだ。溜め息を吐きたくもなる。
『シロおっはよ~ん♪朝から暗い顔してどったの?せっかくの可愛い顔が台無しよん?』
そんな意気消沈な白夜の隣に来る一人の女子生徒、名前を雪枷 天音。黒髪サイドテール、身長は白夜より頭一つ小さい位で胸は―――触らぬ神に祟り無し。笑顔が似合う女の子。天音と白夜は幼稚園からの腐れ縁だ。
『誰のせいだと思ってやがるんだよ…』
文化祭でとある事件を起こし、今日に至る白夜の称号(あだ名)を決定付けた張本人だ。まぁ詳細はまた別の機会に。
『何の事かにゃ~?』
わざとらしくとぼける天音に、呆れ気味に白夜は話題を変える。
『ハァ…もういいよ。それより今日の1限目の歴史、確かお前が指される番だけど、ちゃんと範囲予習してきたんだろうな?』
『―――てへっ☆』
『よし!俺は何も知らないし、聞かれても分からんから聞くなよ!』
白夜は足早に校舎に向かった。
『あ~ん、シロひっど~い!待ってよ~ん♪』
天音は言うや慌てて俺の後を追ってくるのだった。
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