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―――教室―――
『―――という事件があり…天音君、この出来事と日本再建までを説明してみなさい』
眼鏡を掛けた初老の少し強面の教師に指名された天音は、慌てて立ち上がった。
『はっ、はい!!え~っと…この事件は後に〈死界事件〉と呼ばれ~。日本は人が住めない土地になってしまいました。ですが、生き残った日本人がアメリカと話し合いの末、太平洋上に住居施設を作り、そこを…第二日本国とし、ここに住み始めました…以上です…』
天音はおずおずと席に座った。が、教師はハァと溜め息を漏らす。
『―――次はちゃんと予習しとくように…仕方ありません。白夜君、詳しく説明してみて下さい』
『えっ!?あ…ハイ』
教師は天音の不足だった説明を白夜に求めてきた。
白夜は割と得意分野であり、更にこの事件はよく知っているので、すぐ立ち上がり喋り始める。
『この事件は後に〈死界事件〉と呼ばれ、この事件の核使用の影響…放射能の影響により、日本及び日本周辺はこの先数百年以上先まで生き物が住めない不毛な地になってしまいました。
同時に、世界の国々で不安と恐怖による争いが起こってしまい、国外にいた、あるいは逃げた日本人達はこれを憂い、主として核を使用したアメリカ、中国、ロシアと交渉し、争いを止めるため、新たに日本を再建するため尽力しました。
この時、交渉、建国に特に尽力した四人は、第二日本国東京都四区をそれぞれ治め、小規模ながらここに正式に第二日本国が建国となりました。以上です。』
白夜は言い終えると静かに席に座る。
『はい。素晴らしいです。白夜君は順番でも無いのに良く予習してあります。なので授業態度にプラスしておきましょう。天音さんはマイナスです』
『えぇーっ!?…そんな~』
当たり前だ。
因みに、白夜は本当に一切を教えなかった。天音は他に頼んだみたいだが、どうやら手遅れだった様子だ。
『ッ~!?』
天音さんが白夜を涙目で睨む。
『(―――後でご機嫌をとって置こう…俺の保身のために。)』
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