神の命令

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「なぜ俺なんだ…」 「それはお前とサマエルが親しい友好関係にあるからだ。天界としてはサマエルを『黙示録』に送りたくない。だからお前にサマエルを説得してほしい」 黙示録―― 堕天使などの罪を犯した天使が送られる地獄の様な場所。 入ったら最後、永遠に拷問され続ける。 レヴァエルはしばし考え込む。 頭の中ではサマエルとの思い出がフラッシュバックの様に頭を巡る。 レヴァエルにはサマエルが本当の兄と思えていた。 だが、そのサマエルが堕天使に成り下がった今、その思い出が苦痛となった。 レヴァエルの中のサマエルは優しい兄、この上辛い事はない。 「で、俺はどうすればいい?」 レヴァエルが神に問う。 「現在サマエルは人間に成り済まし、人間界に居座っている。お前は人間に成り済ましたサマエルを見つけ出し、天界に連行すれば良い」 真剣そのものの顔で神が答えた。 いつもおちゃらけているレヴァエルもこの時だけは真剣な顔になっていた。 「つまり俺も人間になれと?」 「そういう事だ」 またもや沈黙。 長い長い沈黙が続く。 そして沈黙を破ったのは神だった。 「引き受けてくれるか?」 神の問いにかなり悩むレヴァエル。 少し経ってからレヴァエルが俯いた顔を上げ、神を見つめる。 そして―― 「わかった……その第一級の命、この天使レヴァエルが引き受けた」
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