壱ノ刻 巫女とメイドと吸血鬼

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ー幻想郷、博麗神社ー 白黒の魔法使い、霧雨 魔理沙は博麗神社の縁側に仰向けに寝転がって空を眺めていた。 「全く…嫌な空だな。」 空は変わらず青空だったが、魔理沙は睨むようにして空を見る。別に恨みがあるわけではないが、睨まなくては気がすまなかった。 「異変の起こる前兆…いや、もはや異変ね。」 「アリスか。スキマはどうだった?」 アリス=マーガトロイドは本を縁側に置くと、頭に引っ付く上海をその上に座らせた。 「永琳が見てるわ。ただの風邪よ。」 「なんだ、心配して損したぜ。」 「そうも言ってられないわよ?」 アリスは縁側に座る。 「紫は一人で一種類の妖怪。妖怪用の風邪薬だけじゃ効果は半分程度になっちゃうの。」 「それなら薬の効果の境界を弄れば…。」 「今の紫は話したり寝返りうったりするので精一杯。できて精々、頭だけ隙間に突っ込んで誰か呼ぶくらい。」 「ちなみに…治るまでは?」 「今のままならひと月…さらに肺炎起こしたら更に延びるし、大結界の修復も含めれば約二カ月ってところかしら。」 はあ、と小さな溜め息を吐いた魔理沙は何も言わずに帽子を顔に載せて寝そべった。 「霊夢はあっちでどうしてるのかしら…。」 アリスはさっきまで魔理沙が見ていた空を見上げた。
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