弐ノ刻 烏と狼と魔法使いと

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ー幻想郷、翌日の博麗神社ー 「ふむふむ、しばらく見ないと思ったらあの紫さんが風邪ですか。それで、幻想郷の結界が緩んで…。」 射命丸 文はメモ帳にアリスの情報を書き込む。 「この情報は記事にしても人間には配っちゃ駄目よ。無駄な混乱を起こすだけだから。」 「分かってますよ。いくらブン屋の私だって書いて良いこと悪いことの区別くらいつきますし。」 「それが出来たら心配してないわよ。」 アリスは溜め息をついた。ちなみに魔理沙は隣で爆睡している。 「っで、結界が緩んでるお陰で外来人がこっちに、こっちの人があっちにってわけですね。」 「そう言うこと。唯一の救いは外来人の数が精々一日に一人二人なところかしら。ねえ、魔理…。」 アリスは不意に隣を向いた。先ほどから鼾がしないから起きて居るのだろう。 しかし、アリスは絶句してしまった。 魔理沙の姿が無いのだ。 「魔理沙…?魔理沙!」 「あやや!?椛もいないです!」 二人が慌てふためいていると、足下の影が開いた。黒い隙間のようなものだ。 「えっ、何これ!?」 「あやややや!?なっ!何ですかこれは!」 悲鳴も上げる事無く、二人は影に落ちていった。 その場に残っていたのは一冊の魔道書とペンのみだった。
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