弐ノ刻 烏と狼と魔法使いと

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ー現代、伊吹家、優希寝室ー 朝の清々しい雀の声に、優希の頭はミスティアが浮かんだ。 「…あれ?みすちーって雀?蛾?どっちだっけ…。」 寝ぼけた脳で思考を巡らすも大した事は出ない。別に馬鹿ではないのだが。 しばらく考えるが、やはりたいした事は出ずに、また目を伏せる。 「まあ、いいや。みすちーは夜雀。以上。」 とりあえず優希は寝返りを打った。どうせ今日は土曜日なのでグッスリ眠れる。 朝飯は咲夜に適当に作ってくれと昨晩言ってあるので大丈夫だろう。 もう一度寝返りをうつと、何やら温かい物が手に触れ、そのまま抱き寄せた。 何かいい匂いがしていて柔らかい。ちょうどいい温もりで、まるで犬みたいな心地よさがある。 「ん…んん…苦し…。」 声がして布団を持ち上げると椛が居た。 犬走 椛が優希の寝間着をギューッとしながら抱きしめられている。これに興奮せずにはいられない。 「……。」 鼻から出る血を耐え、布団から出て、ゴミ箱にたどり着く。それから鼻から手を離した。 ブシャっと血が飛び出てる。おそらく誰もが起きる生理現象。優希に限った事ではない。 とりあえず鼻血を止めてから、椛をちゃんと寝かせた。 そして自室を後にしてリビングに向かった。またまた朝から東方楽曲が流れている。 幽霊楽団の音楽が流れている。自然と優希の足はステップを踏み始めた。 優希の好きな音楽でもある。 その足取りでリビングを覗くと、白黒魔法使いがコントローラーを動かしていた。 「弾幕はパワーだぜ!…っと!ったあ!」 コントローラーのコードが鞭のようにしなる。そんなに振り回しても画面に居る魔理沙は動くわけがない。 優希はクスリと笑ってキッチンに向かった。 「いくぜ!恋符、マスタースパーク!」 ブオーンとマスパの音が響いてくる。その音を聞きながら、キッチンに入った。 「あっ、おはよう。」 優希はアリス=マーガトロイドの姿を見て、一応驚いたがとりあえず冷静を取り戻す。
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