弐ノ刻 烏と狼と魔法使いと

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キッチンでアリスはトースト片手に新聞を読んでいた。 その姿が異様に似合い、錯覚を覚えたのが優希の硬直原因の一つだったりする。 「おはよう…って、アリスはいつ来たよ。」 優希の問いにアリスは答えない。話しかける前にトーストをかじってた為、目で訴えている。 ちょっと待って、と言ってるように見て取れたので、優希はしばらく待った。 すぐにトーストを飲み込んで口を開いた。 「ん…ついさっき…かしら?いつの間にか裏の広場に居たのよ。」 「ああ、公園ね。」 優希は頭の中の地図を開いて、この辺りの公園を探す。この家の近所に小さな公園がある。 通称、ロケット公園と呼ばれる小さな公園だ。 「そこで霊夢にあったから、ここに連れてきて貰ったのよ。」 「霊夢が?」 朝から散歩でもしていたのだろうか。 「これで来たのは咲夜さんにレミリア、霊夢にアリス、魔理沙に椛…。」 「もう白狼天狗には会ったのね。あと、ブン屋が居るわ。」 「射命丸か…。」 面倒くさいと思い、優希はボリボリ頭を掻く。しかしそのブン屋が見当たらない。 「ちなみにそのブン屋は?」 「さあ?この家を探検するとか言ってたような…。」 嫌な予感が優希に走る。ロクな事が起こる気がした。 「そうそう、あなたの名前、伊吹 優希でいいのよね?」 「そうだけど…。なにか?」 「じゃあなんでもない。気にしないで。」 アリスは手をひらひらとさせて、コーヒーを飲む。 とても、絵になる。文じゃないが、写真撮りたいと思えるほど。 その途端、目の前にハムエッグが出された。 「お茶はコーヒーと紅茶、どっちがいいかしら?」 「ん…紅茶がいいかな。」 咲夜は頷くと、慣れた手付きでカップに紅茶を注いだ。
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