参ノ刻 藤原妹紅と上白沢慧音

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ー幻想郷、妹紅の家ー 「イタタ…慧音、痛いし染みるし。それに私はこんなことしなくても…。」 「だからといってすぐに回復はしないだろう。」 藤原 妹紅は上白沢 慧音に傷の手当てを受けていた。いつもの蓬莱山 輝夜との喧嘩(殺し合い)だ。 お互い不死身の為、永遠に終わりの無い喧嘩。 だから今日も負け気味の引き分け。 ボロボロのまま自宅に帰ってくると、偶々訪れた慧音に無理やり消毒液をかけられたのだ。 「よし、終わりだ。」 「ん…ありがと。」 ぐるっとテープで包帯を固定した。大した事無いと言っても見てられない痛々しさ。 この傷も深い切り傷だった。 「そういえば、最近、結界が緩んでるらしいぞ?なんでも隙間妖怪が風邪引いたとか。」 「スキマが?」 「ああ、天狗の新聞によると、なんでも数百年ぶりだそうだ。そのせいで抗体が弱まってたらしいな。」 「あのスキマがねぇ。」 痒いのか、痛いと言いながら妹紅は頬の絆創膏を掻く。それを見ながら慧音は立ち上がり、台所に向かった。 「原因は他にも色々あるらしいが、結界が緩んでるせいで、霊夢とか吸血鬼とかが外の世界に行ってしまってるらしい。」 「ふぅん。まあ、私らには関係無いな。おっ、これか。」 妹紅は新聞を取り、それを広げた。さっき慧音と話した事が丸々載っている。 「なあ、慧音。…慧音?」 妹紅の見た先には慧音の姿はなかった。 続いて、新聞がバサッと紙特有の音を立てて、畳に落ちる。
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