壱ノ刻 巫女とメイドと吸血鬼

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「二人は霊夢に此処に行くよう言われたんだよな?どうやって聞いたんだ?」 「ああ。簡単な答えよ、そんなの。」 レミリアは紅茶に口をつける。 簡単な答えと言われても霊夢は向こうに居て、紫の力が無くては来れない筈だ。幻想郷に居ては優希の知る限り、連絡方法がない。 しばらく悩んで居ると、レミリアが咲夜に話しかける。 「咲夜、ちょっと行ってきなさい。」 「はい、お嬢様。」 そう言って頭を軽く下げると、咲夜が急に消えた。 だが直ぐに元の場所に現れた。時を止める能力であろう。 生身で見ると本当に瞬間移動したように見える。 「只今戻りました。」 咲夜はそう言って、椅子を回した。 そんな事したらフローリングには当たり前に傷が付く。フローリングは後で確認するとして、優希は椅子に座ってる人物を見た。 独特な巫女服を着ている少女である。比較的可愛らしい顔をムスッとさせ、顎に手を当てていた。 「…霊夢?」 「そうよ、文句ある?」 紛れもない博麗 霊夢である。 「…咲夜さん、これが答えだと?」 「ええ。」 「霊夢もコッチに来ちゃってるの?」 「見れば分かるでしょう?」 「ですよねー。」 これは一大事なんではないだろうか。博麗大結界の操作は霊夢が行っている。 その霊夢がコッチに来たらもっと結界の緩みが酷くなるのでは、と優希はそう考える。 だが、霊夢は見透かしたように口を開いた。 「安心なさい。紫の式が結界の修復してるから結界自体は崩壊しないわ。ただ脆いけど。」 「それって…まだ、こっちくる可能性があるって事?」
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