ひとりぼっち。

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幼い頃、私は学校で、孤立していた。 そして、学校の児童だけに避けられたのではなかった。 父母や先生にまでも、『神崎家の、お嬢様』という肩書きだけで怯えられ、周りの親は子供にまでも、 「仲良くしては、駄目。」 と避けるように、言い聞かしていた。 家にも、私の居場所は無かった。 勉強の成績が下がると手を挙げられ、習い事でも、何か少し失敗しただけでも、手を挙げられた。 いつも…、一番じゃないと、駄目だった。 どんなに努力しても、結果が全て―。 そんな環境に、誰もが、見てみぬふりをしていた。 寂しかった…。 ただ、ただ…、寂しかったんだ。 そして私は、『妖かし森』に行った。 妖かし森に、妖かしがいる事は、知っていた。 「妖かし森に行っては、行けない。」 と聞きあきるほど、母や祖母に言い聞かされていたから。 でも家には、居たくなかった。 あんな、窮屈で息苦しい家。 どこにも行く場所が無い私は、ほんの少しの好奇心で、妖かし森へ行った。 もちろん、家の人には内緒で…。 私が、妖かし森に初めて入ったのはこの、まだ肌寒い春のことだった。 午後2時。 まだお昼なのに、森のなかは暗く、風がひんやりと肌寒い。 “ポキッ、ザザッ” 森の奥に、一歩踏み出す度、草が揺れる音や、枝が折れる音が響く。 『う゛っ』 急に、まぶしい光が差した。 あまりのまぶしいさに、目を瞑ってしまって、目の前が見えない。 少しずつ目を開けると、目の前には草原と湖。 森から、抜けたみたい…。 ここ、どこ…? さっきまで、暗い森のなかだったのに… 綺麗な湖…。波打つ度にできる、光の波が綺麗。 森のなかに居たのが、嘘みたい。 『?』 草原の一ヵ所だけ、草花が生えていない地面のところがある。 何だろう? 地面のところに行くと、 『こ…ん、にち…は?』 私と同じような小さい子が、木の棒で書かいた、綺麗とはあまりいえない字。
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