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二月。
二月といえば、三学期制の学校であれば三学期真っ只中で、二学期制なら後期終盤だ。
学生はというと、あと数ヶ月で春休みを迎える。それまで一、二年生は学校で勉学に励み、三年生は自宅学習となっている者が多いだろう。
三年生は卒業を。一、二年生は終業式を目前に控え、青春を謳歌しているに違いない。
そしてここに、音痴ながらも謳歌しようともがく男が一人。
青春とはどんな音程で、どんなテンポで、どんな大きさで歌えばいいのか。今年で高校生活も二年になるが、今だに皆目見当もつかない。
俺はどうすればいいのだろうか。
彼女を作ろうにも、そういった色めいた話はこの十七年の間まったく来ない。悪友がどうでもいい無色透明な話を押し付けて来るだけだ。
ならば友達を多く作って社交性を磨こうと志すが、初めに出来た友人がとんでもない堕落した性格の持ち主で、『旅は道連れ世は情け』を志す彼の術中にはまり、俺まで堕落してしまった。堕落した俺に近づく人間は、どれもこれも同じような音痴仲間だった。
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