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「代わり? ケーキが、チョコの代わりだと言うのか?」
「その通り」
呆然とする俺に、悪友は続ける。
「あなたは顔だけ見れば整っているからね。まさか頭の中が天気の事でいっぱいな馬鹿だと知らずに、憐れな女子はあなたに愛を捧げるんだ。愛の不法投棄もいいとこだ」
悪友は今度は顔を近づけて一言。
「あなたはモテる」
悪友の言葉に、俺は半ば放心状態であった。
「俺はモテるのか。やはり」
自分の言葉で、ようやく放し飼い状態だった魂を捕まえる。
これは世紀の大発見だ。俺はモテるのだ。エジソンでもこの事に気づきはしまい。いや、人類でこの事に気づけるのは俺以外にはいないだろう。
悪友は人の皮を被った馬鹿だから例外だ。
いや待て。
その馬鹿が言った言葉だぞ。信じてもいいのか?
悪友の甘ったるい甘言に騙されてはいけない。そもそも、俺は甘いのは嫌いなのだ。去年だって、食い切れずにケーキの半分以上を腐らせてしまったではないか。
俺が悪友の言葉を信じるかいなかで迷っていると、こいつは思い出したかのように「そうだ」と言う。
「そういえばあなた、昨日○×公園にいましたが、あれは何をしていたんだ?」
その言葉で、俺の中の最終決断が決まった。やはりこいつは信じられない。
俺の昨日の行動履歴に、○×公園は無かった。
「俺はそんな場所には行っていない」
俺は悪友に嘘つきめと言って指を離した。
その後、俺と悪友で口論になったのは言うまでもない。
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